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亀ゼリーは、お熱いのがお好き?
2011.11.22
その他

亀ゼリーは、お熱いのがお好き?


会食の日を前にして、幹事役の人から出される質問のひとつに、食べ物の好き嫌いについての問い合わせがある。
「苦手な食材やアレルギーをお持ちでしたら、あらかじめお知らせください」
まったく好き嫌いのない私の答えは、常に判で押したように決まっている。
「すべての食べ物を、好きな食べ物と、大好きな食べ物に分けることができるくらい、好き嫌いはありません」

これは、“食いしん坊オマタ”の偽(いつわ)らざる答えなのだが、100パーセント本当かと詰め寄られると、すこし後ずさりする。
「好きでも嫌いでもない」のジャンルに入っているものが、すくないほうの数個あるからだ。
あまり馴染みのない味ゆえに、判断するモノサシが私の口のなかになく、すぐに好きか大好きかに分類してしまっていいかどうか、その評価が長続きするかどうか迷っているものがある。

10年ほど前までは、「フナ寿司」と「ホヤ」、そして「龜苓膏(亀ゼリー)」が入っていた。
「未決」の箱に置かれたまま、うっすら埃(ほこり)をかぶってしまった課題のようなもので、なかなか行き先が決まらなかった。

「フナ寿司」に関しては、京都は銀閣寺そばの「草喰(そうじき)なかひがし」で心の底から(おいしいぃ〜!)と思えるものに出会って以来、「好き」のゾーンにお引っ越し! 「ホヤ」はそのままだが、(まだ私が、おいしいものにめぐり会えていないだけだ)と自身に言い聞かせている。

香港の「亀ゼリー」については、かなりの大昔に(ニガイ!!ず〜っと口のなかに苦みが残る)と顔をしかめてから、もう一度チャレンジするまでに、ずいぶん時間がかかってしまった。

多くのお客さんが出入りする「亀ゼリー」専門店の前を通るたびに、(こんなに人気があるんだから、何か私の知らないヒミツがあるに違いない)とつぶやき、好き嫌いの結論を先延ばしにしていた。

それが、3年ほど前に、あることをキッカケに食べはじめ、いまでは、「恭和堂」や「海天堂」などの亀ゼリー専門店の看板を見かけると、脳が指示する前に足が店内に入っているほど、毎日のように食べるのが当たり前のものになっている。

食べたいものが街にあふれている香港で、食欲をおさえることは至難のワザ! 朝昼晩3食のあいだに、10時と3時のおやつ、さらに、しめくくりのお夜食と、胃がカラッポになるヒマがない。しだいしだいに胃袋のなかで積み重なったものの層が厚くなっていく。
「途中で、亀ゼリーをお腹に入れておくと、整腸作用があるから、このあとの夕ごはんがおいしくいただけるかも」と、おなかが膨らみすぎて重いことを訴える私に、香港の友人がすすめてくれた。

     亀ゼリーを蒸している瓶(カメ)をのぞくと・・・

ひとくち流し込むと、苦味の刺激を受けた食道あたりが、ビックリしたように目を覚ます。ふたくち目が入ると、私の食欲にゲンナリしていた胃が、ふたたび働き始めようとエンジンをかけるのを感じ取ることができた。
丸まって動かなくなっていた食べ物がじわじわと整理整頓され、気がつくと、次の食事をおさめる場所が空いたようで、体の真ん中が軽くなっていた。

整腸作用をもとめて、亀ゼリー専門店を目指すこともあれば、たっぷりのハチミツとあわせた甘味として楽しむこともある。
気温の高い日は、体の中にたまって動かない熱を冷ますために食べるのもいい。いつもは熱(HOT)注文する私も、そういうときは冷(COLD)に変える。

亀のお腹の部分の甲羅「腹甲」を干したものに、さまざまな生薬をあわせて煎じたものを蒸すとゼリー状に固まるらしいが、食べれば食べるほど、漢方のチカラを感じる。
体のどこかにホンのすこしの不調を感じたら、亀ゼリーでととのえる。まだ不具合なところはなくとも、体調を崩すとイヤだなぁ〜と感じたら、亀ゼリーを流し込んでおく。
日本にも亀ゼリー専門店ができれば、そのチカラを毎日借りることができていいのにと思う今日このごろです。