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香港は「おしるこ」天国!
2012.02.22
銅鑼灣

香港は「おしるこ」天国!


日本では、「おしるこ」というと、小豆(あずき)ですよね?  
小倉あんのものが「田舎汁粉」、こしあんが「御膳汁粉」と呼ばれることが多いが、どちらも小豆から作られている。
「虎屋」の喫茶室に、「白小倉汁粉」という好みのメニューがあるが、材料は白小豆! 希少ながらも、白い小豆である。

香港に行くと、「おしるこ」は小豆という枠が溶けてなくなる。
一番初めに出会ったのが、「發記」の栗のおしるこだったことを鮮明に覚えている。

「温かい栗のスープを食べにいきませんか?」

スープと聞くと、卵のスープやワカメのスープのように、食事のあいだにとるものだと思いながら香港の友人のあとについて行くと、そこは、甘味処! 目の前にあらわれた栗のスープは、表面がツヤツヤとしていて湯気を立てている。

レンゲですくうと、もう濃厚な栗の香りが鼻の奥をくすぐる。
ゆっくりした動作は、ここまで! そのあとは、最後のひとくちまでレンゲが止まらない。
おしるこ好き、栗好きの私にもたらされた最高の甘味だった。

おまけに、メニューの表記が「養顔栗子茸(熱)」! 「養顔」の2文字に、シワとタルミのめんどうを見てもらえそうな予感がして顔がほころんでしまう。

            「發記」の栗のおしるこ


日本のおしるこに近いものもある。
「紅豆沙」を頼めば、小豆のおしるこが運ばれてくるし、緑豆のおしるこも、やみつきになるおいしさだが、材料が豆類ではないものが圧倒的に多いのだ。
栗のおしるこに始まって、クルミ(合桃)のおしるこ、黒ごま(芝麻)のおしるこ、杏仁(アンズの種)のおしるこ、ココナッツ(首創椰子)のおしるこ、かぼちゃ(南瓜)のおしるこ、まだまだめぐり会っていないものもあり、おしるこの種類をすべて数えるのは難しい。

まだウワサにしか聞いていないのだが、豆乳のなかに、トロトロの湯葉(腐竹)が浮かんでいる珍しいおしるこもあるという。味を想像しただけで、口のなかがヨダレの洪水になる。
ゆで卵が入っていることもあると聞いて、好奇心に着火! 豆乳と湯葉のおしるこのなかで、ゆで卵をほぐしたら、どんな味になるのだろう!? 次回の香港でのお楽しみフォルダにメモを残している。

さらに、食べることに情熱をかたむける香港では、おしるこの世界にも「鴛鴦(インヨン)」が顔を出す。「鴛鴦露」というメニューが存在するのだ。
コーヒーと紅茶を合わせたものにエバミルクを注いでしあげる「鴛鴦茶」が広く親しまれているように、おしるこにも、2つの味をひとつの器に盛りつけたものを注文する人が多い。

       鴛鴦(インヨン)のおしるこに挑戦中!

どの味と、どの味を融合させるかを、豊富なメニューから選ぶことができるので、楽しい実験にのぞむような気分になる。

蓮の実と百合根と小豆のおしるこの組み合わせと、「湯丸配芝麻糊合桃露」という黒ごまとクルミのおしるこをミックスしたものを注文してみる。
器の底から白玉をすくいあげた瞬間に視覚的には悪くなってしまったが、ふたつの色がドロドロと渦巻く外見に似合わず、おいしさ100点満点だった。

さらにさらに、黒ごま汁粉+牛乳プリン、クルミ汁粉+豆腐花、そのうえに、タピオカを乗せたり果物を飾ったり、異種格闘技戦も盛んに行われている。
組み合わせは無尽蔵にあるわけだから、香港のおしるこ事情に精通するためには、何日滞在しても時間が足りない。

甘味処のみならず、レストランや喫茶店のメニューのなかに、「○○露」や「○○糊」という表記を見かけたら、どうぞあなたも“香港おしるこ天国”に歩を進めてくださいね。

チャーシュー饅頭が、なぜ「天下第一包」!?
2012.02.03
尖沙咀

チャーシュー饅頭が、なぜ「天下第一包」!?


「天下第一包」を両手で持ち上げ、ツヤツヤした頭の部分からガブッと半分ほどかぶりつき、モグモグしながらビクトリア・ハーバーを眺め、さらに、その向こうの香港島を180度見渡すと、(香港に戻ってこられて幸せぇ〜♪)と満面の笑みがこぼれる。

       香港の街を眺める「天下第一包」

香港にいるあいだは、昼間の飲茶(やむちゃ)めぐりも楽しみのひとつになっているが、到着して一番初めに予約するのが「王子飯店(Prince Restaurant)」! できれば、窓際の席だ。

レストランの栄枯盛衰が激しい香港では、しばらく行かないうちにクローズしてしまったり評判が落ちてしまったりする店があるが、「王子飯店」は、2004年の開店時から通いつづけて、毎回!毎回!大満足!! 香港の友人たちのあいだでも、評判は高く安定している。


露筍鮮蝦餃 (プリップリッの海老シュウマイ)
天下第一包 (チャーシュー饅頭)
飄香荷葉飯 (蓮の葉に包まれたチャーハン)
黄金流沙包 (濃厚なエッグカスタードのおまんじゅう)
楊枝甘露 (マンゴー、ポメロ、タピオカの入った冷たいデザート)

これが、かならず注文する飲茶のスタートメニューだ。
途中で、おなかと相談しながら、腸粉(米粉の皮で海老などを巻いて蒸したもの)や豉汁蒸鳳爪(甘辛く味つけされた鶏の足先)を追加してみることもある。
緑のものが欲しくなったら、芥蘭(ガイラン)という日本では見かけない野菜を注文する。

どうしてチャーシュー饅頭に、「天下第一包」いう名前をつけているのか?

おそらく、一番初めに浮かんだであろう疑問だが、あまりのおいしさに感激! (チャーシュー饅頭の頂点に輝いているということね)という納得してしまったから、その謎解きは遠くへと吹き飛ばされてしまった。
それより、早くおかわりを頼むことと、次回からもかならず注文できるように「天下第一包」を暗記するほうに、すべての神経がそそがれていた。

あらためて、「天下第一包」のどこにも、チャーシューが入っていることが案内されていないことを香港の友人たちに聞いてみた。
「食べ物に、縁起のいい名前をつけたり、キレイな名前をつけたりする習慣があるの」
「天下第一包」は、世の中で一番おいしい包(まんじゅう)という誇らしげなネーミングになっていて、レストランの自信のほどがうかがえる。

縁起のいい名前は、ほかにも発見できる。
「春風得意腸」!
春風得意というのは、なんでも上手くいくという意味のことわざを名前にした腸粉(チョンファン)。なかには、色とりどりの野菜が詰められている。
キレイな名前も、見つけることができる。
「飄香荷葉飯」!
飄香は、良い香りがただよっているという二文字だ。そこに、蓮の葉っぱをあらわす荷葉と、ごはんの飯をつなげてメニューの説明をしている。
「黄金流沙包」の黄金も、タマゴの黄身をさしているが、キレイな表現を目指している。
ほかにも、野菜「翡翠」、かぼちゃ「金瓜」、パパイヤ「萬寿果」などのドレスアップしたネーミングを、メニューのそこかしこに見つけることができる。

そろそろ、飲茶をするたびに、息せき切って注文し、すぐにお腹がはち切れそうになることから卒業しようと反省した。
このつぎは、好みのお茶を味わいながら、メニューの文字に込められたレストランの思いを感じとる。そのくらい余裕のある観光客になってみたいものです。