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スペインはブニョールのトマト投げ祭 “La Tomatina”

貨物部 吉村智光 / 経理部 博多義之

毎年8月最終週の水曜日、スペインはバレンシア近郊の町
Buñol(ブニョール)には、怒涛のように人が詰めかけ、町を挙げてのお祭り騒ぎになる。世界中から集まる人々の目的はただ一つ、“La Tomatina”(http://www.latomatina.es/)に参加すること。トマトでドロドロになり、人また人で押しくらまんじゅう状態になるこの祭りは、「世界の3大バカ祭り」の一つに数えられているという。

この“La Tomatina”(トマト投げ祭)は、なぜそこまで人々を惹きつけて止まないのか。これはひとつ自分が参加してみるしかないか、ということで、はるばるバレンシアまで出かけてきました男2人の弥次喜多道中。

祭りの前日、きれいな地中海の町、バレンシアへ到着すると、そこはもう前夜祭よろしく既に大盛り上がり大会。
“La Tomatina”のおそろいのTシャツを着て一致団結を声高に叫ぶ人々あり、ただただBarで飲んで騒いで楽しむ人々あり。そして内心ドキドキしながらも祭りの本番では負けてはいられないという思いを胸に、明日のプランとライバルの視察に余念がないこちらの2人。日本男児の意地を見せてやる意気込みだ(って、ただのバカ祭りなんだけどね)。

祭りの当日、バレンシアの駅から電車に乗ること約1時間。みんな思い思いの仮装で楽しんでいるけど車内は意外とおとなしい。ピーンと張り詰めた緊張感。これは嵐の前の静けさ? それともライバル意識か? こちらも日本から持参した半被&甚平に身を包み、鉢巻&扇子でビシッと決めて、コスチュームは完璧!のつもりなんだけど大丈夫かなぁ~、ウケなかったらどうしようとちょっぴり不安でやっぱり静か(そうそう、トマトが当たると目にしみるから、ゴーグルも必須)。

祭りの会場まではBuñolの駅からだいたい1kmちょっとの道のり。道すがら、女の子たちが次々に寄ってくる。どうやら「一緒に写真撮って~。」らしい。え、俺たち? よっしゃぁ、喜んで!!そして10m歩くたびに「フォト!フォト!」とやんちゃな若者達が寄ってくる。初めはカチカチだった2人も3回写真を撮られる頃には胸を張り、5回目ではポーズも決まり、10回目を過ぎる頃にはアイドル気分を超満喫。日本男児でよかった。鉢巻も法被も向こうの女の子達にうらやましがれ、「ちょーだーい」の嵐でムフフ気分。でもみんなHonda~、KAWASAKI~、KARATE~って我々を呼ぶんだよね、ま、いいか。そしてついに見つけた現地のTV局の中継車。さぁ、ついに仮装の判定がくだされる!と思うまもなくレポーターがこちらを指差す。「やった!ついにスペイン芸能界デビューだッ!」。いいですか、カメラ回りますから英語でお願いしますと言われ、緊張の中、「どこから来たの? 何しに? 」「東京からっ!ハジけに来ましたっ!!」。アイドル気分最高潮。よし行くぜ!

祭りの会場となるのは、4mくらいの幅の狭い路地。我々が到着するとそこはもう人・人・人。まるでラッシュ・アワーの満員電車状態。スペインの小さな町の狭い路地でしばし東京の通勤地獄に思いをはせるが、ラッシュに鍛えられた日本人をなめるなよ~とズンズン中へ進む2人。路地に面した家々は準備よろしく壁をビニールシートで覆っている(やっぱ汚されちゃ堪らんって)。その家々の2階、3階、4階、そして屋上からは、頭を冷やせというのか、はたまた応援しているのか(たぶん喜んでいるだけ)、住人がじゃばじゃばバケツの水を祭りの参加者にぶちまけ、声援(または罵声? )をとばす。やんちゃな地元青年団は楽しく皆に抱きつき、男の参加者のTシャツを否応なく引きちぎりトマトのかわりに投げ始める。(当方参加者1名はこの餌食となり、脱がされ、栄誉のカスリ傷を負う)

興奮最高潮に達した参加者たちは、すし詰め状態の会場で「トマト!トマト!」の大合唱。それに答えるように、遠くから怪しくデカいトラックが通りをこちらに向かってくる。こんなにも人に埋め尽くされた(2009年公称参加人数、40,000人!)隙間のまったくない狭い通りにどうやってあのトラックが入って来れるのか? 入ってきたらここにいる(アホな)人々はどうなるのか? トラックの下敷きになってしまうのか? 疑問だらけ。でもおかまいなしにトラックはゆっくり近づいてくる。みんなはフロントガラスをめがけて濡れたTシャツやサンダルを投げつける。百戦錬磨の運ちゃんは不敵な笑いですべてをはねのけ、背の高さの3倍はあるトラックの荷台の上から盛り上げ役のマッチョのおっちゃんがトマトで指名攻撃を仕掛けてくる。ああっ、ぐちゃっ!

そして荷台がゆっくりとあがり、ホントに真っ赤なトマトをごごごごって音と共に落とし、皆が群がり、掴み、投げ、笑いながら回りのだれかれに構わず擦り付ける祭りがスタートした(後で聞いたらトマト110トンだって。半端ない)。それはまさに「トマトバトル」!

そしてただ行きかうトマトが弾け、降って来る中、人の波にまかされ、ほぼ放心状態で右へ左へ流されていく。こちら2人はすでに離れ離れになり、トマトまみれ、汗まみれ、人まみれ、熱気、興奮、歓声。もう訳がわからない、、、。トマトを投げたい、でもトマトがどこにあるのか分からない。いつ終わるのかもわからない。でもトマトはただただ空から降ってくる。そうだ!これはトマトのシャワーじゃないか!

ドーン。祭りが始まってからどれほどの時間がたっただろうか。祭りが終わりを告げる大砲の音の合図で我に返る。大砲が鳴ったらトマト投げはもうNG。それがルール。それでも、もう熱狂は止まらない。だからトマトでグシュグシュになったTシャツもスニーカーも、投げられるものはもう何でも投げちゃうもんね。トマトの海でクロールだってしちゃうもんね。まだ、みんな遊びたりないよ。

終わった後も町はにぎやか。ノリのいい音楽があちこちで流れ、ビールやサングリアを片手にトマトだらけで踊る人。道のあちこちに出ている即席BBQ屋台で肉汁たっぷりのバーガーにかぶりついている人。近所の家の軒先でおばちゃんにホースを向けられて笑いながら身体を洗う人。最後までみんな楽しんでるね。

バレンシアへの帰りの電車はトマト臭い人でいっぱい(トマトって臭かった!)。みんな疲れきっているけれど、どこか満足気な顔。まるで遊びつかれた子供みたい。髪の色やしゃべる言葉が違っても祭の後はみんなぽっかり口をあけてうとうとしながら電車の揺れに身を任せるんだ。

今振り返って思う。“La Tomatina”って何だったんだろう。一生の思い出? ひと時の青春? う~ん、それは何の理由もなく、言い訳もなく、ただ心から何かを楽しむことができる自分がいることを思い出させてくれる特別な機会だったように思う。バカ祭りだよね、でも素直にバカになれる自分がすごく嬉しかった。

皆さん、来年はぜひ“La Tomatina”でトマトまみれの恍惚を味わってきてください。帰りの着替えはジプロックに入れて行くのをお忘れなく。(談)

【具体的な旅程のイメージ】
東京から香港経由アムステルダムまではキャセイパシフィック航空で。東京~香港、約4時間半、香港~アムステルダム、約12時間。その先、スペインのマドリッド経由バレンシアはoneworld® 加盟航空会社イベリア航空で。アムステルダム以外のヨーロッパ各都市からの乗り継ぎも可能です。

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